隅っこ映画レビュー

「テリファイド」アルゼンチンから来た異次元の恐怖。文化が変われば、ところどころに「んん?」

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テリファイド

今日は変わったところのホラーをご紹介。「テリファイド」。

こちらは2019年の始めに日本で公開されたアルゼンチンのホラー映画です。アルゼンチン!なかなか聞いたことないですよね?私も初めて。実際、映画が始まってからその言葉に慣れるまで、しばらく時間がかかりました。(アルゼンチンはスペイン語なんですね。)

ストーリーは、ある住宅街で奇妙な現象が立て続けに起こります。それを調査する警官と臨床医と超常現象の専門家チームが、どうなっていくか?と言うような流れです。

奇妙な現象 と言うのは、ものが動いたり、音が聞こえたり、いわゆるパラノーマル現象というやつですね。事故にあって死んでしまった子供が、墓場から家に戻ってきたりもしてしまいます。こんな感じ。(少し笑ってしまうような表現ですが)

次第にその原因性が明らかになってくるんですが、専門家によると、「水を媒介にした異次元の存在」が人間に巣くうと。

何者かに襲われた人間はまるでゾンビのようになって、死ぬ事はなく、他人に襲いかかります。

そしてその本体となる「何者か」は坊主の全身裸のひょろっと手足の長いおじさんのような風貌。少しスレンダーマンのような雰囲気もあります。異次元の存在と言うことで、見る角度によって見えたり見えなかったり。そのような表現は日本のお化けに通じるところもありなかなか面白いですね。

突然現れて、またどこかに消える、いわゆるモンスターとは一味違う存在。「次元が違う存在」と言う面白さ。ここを十分に感じていただければ。

さて、その次元の異なる存在とどうやって戦うのか?アメリカだったら、悪魔的なものはエクソシストの流れになりますよね?こちらはそうはならないようです。見るからに悪魔的な何かですが、この映画の場合はそれを退治するところまではなかなか進まず、圧倒的な力に皆怯えるばかり。

もう少し力強く戦うところまでみたかった 。

そうそう、映画の中で面白いシーンが1つ。何やら扉の中に潜むものがいて、その下を探してみると、釘のようなものが出てきて手を刺されてしまいます。すごい痛い表現なんですがその時に「血を吸っている!」と登場人物が言うんですね。「チューチュー」との効果音、すごく気持ち悪い。その時のスペイン語が「チュッパンド!」って言うんですよ。「 チュッパンド! 」を連呼する登場人物たち。うん。確かに吸われていますよね(笑)

何やらこの言葉が、すごく面白くシリアスなシーンなんですけれど、少し笑ってしまいました。この辺もアルゼンチンの映画の面白いところでしょうか?先の死んだ子供が普通にリビングにいるシーンなんかも、なんか笑ってしまう、天然な可愛げがある映画です。

そんなこの映画、実は映画は ギレルモ・デル・トロ の製作でハリウッドでのリメイクが決定しているそう。監督のデミアン・ラグナがもう一度セルフリメイクすると言うことです。もしかしたらこちらで、もう少しこのモンスター達と戦うところが見れるかもしれません。デルトロ、戦うの好きですもんね。

登場人物は皆、あまり頭が良くなく(笑)、一方的にやられていくばかりなんですが、それが何か自然な表現として恐怖に圧倒される風景につながっています。後半で主人公の立場になっていく警官が、心臓の病を持っていて、恐怖で胸が苦しくなると言う表現が、まさに主人公らしくない!

全体的に流れるモードはすごくどんよりしたもので、幸せ感はあまり感じられない人々。もしかしたらそんな人々の心の隙間に、モンスターは入り込んでくるのかもしれません。

1つだけ惜しい点としては、音楽がすごく大げさ。申し訳ないですけれどストリングスのいかにも「怖がって!」言う響きがちょっとしつこいように感じました。もう少し演出に合わせ、緩急をつけた音楽の方がこの世界観には合ってるような気がします。

監督自身のセルフリメイク、デルトロの力を借りてどれくらいスケールアップするか?今から楽しみです。

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